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特集サツマビーグルの繁殖(保存版)

Posted on September 17, 2018

純血サツマビーグルの保存普及活動を開始し、早いもので8年が経過した。 そこでこの度より、今日までに得た純血サツマビーグルの知見に付き、特集として各項目毎に分類し、情報公開をしたいと考えている。 今回は、第一回目として保存活動に最も重要な「繁殖」につて報告する。 尚、記述は牝犬をメインに記載。 (1)性成熟 1)牝犬 牝の発情は、概ね生後10ヵ月~15ヵ月であり、多くが12ヵ月過ぎに始まる。これは、他のアメリカンビーグル等の生後6ヵ月と比較するとかなり遅い。 しかし、2度目からは6~8ヵ月と他犬種と変わらなくなる。 2)牡犬 生後8ヵ月頃から牝犬に興味を示すようになる。しかし、身体的並びに猟芸が向上過程にあり、この年齢での交配はしない方が良い。 ※ 訓練中の若犬を交配に使うと、稀に牝の尻ばかりを追うダメ犬になることもあるので注意が必要である。 身体も猟芸も完成した2才前後から交配に使用するのがベスト。 (2)交配日 ・牝犬を繁殖に使用するのは、2回目の発情からがベスト。この時期は通常2才程になっており、狩猟犬として身体並びに猟芸も向上し、繁殖に使用できるか否か判断が可能である。 ・発情が始まり交配をする場合は、牝は交配前に駆虫剤を投与する。 ・交配日は、発情の証となる出血を確認した日から12日~15日目に、予め予定していた牡犬と交配する。 ※ 本犬は、とても清潔好きな犬が多く、出血か始まると陰部を綺麗に舐めるため確認が遅れる場合が少なくない。特に土の上で飼育していると確認が遅れ、交配適期を過ぎることが多々見られる。そこで、出血が確認された日を『発情後3日目』と仮定し、10日目(発情13日目)に交配すると上手く行くことが多い。 (3)交配 牝犬も牡犬も初めて交配する場合は、ベテラン犬を選択すると上手く行く。 しかし、中々そう上手く相手が見つからないのが実情である。そこで双方が初めて交配する場合の手法を説明する。 かし、中々言葉では表現できないコツがあるので、あくまで手順を覚えて欲しい。 ①先ず、牡犬と牝犬を1m余り離して30分ほどお見合いさせる。 ※ お互い尻尾を振って感心を示す動作が見ればお見合いは成功である。 ②牝犬に牡犬を近づけ様子を見る。 ※牝犬が牡犬を激しく嫌う様であれば、「交配は早い」と判断し、後日交配する。 ③交配を始める ※ 暫く様子を見て、牝犬が動き牡犬が上手く乗れない場合は、牝犬の首輪を両手で掴んで固定し、牡犬を助けてやると上手く行くことが多い。 ※ 上手く行かない場合、交配時間は1時間ほどで一旦止め、別々に係留し牝犬の様子を注意深くチェックする。そして30分余り経過し牝犬が牡犬に関心を示す様になれば、再度交配を試みる。

<プロの技> 自然交配が上手く行かない場合、プロの繁殖者は、左手で牝犬の首輪を持って固定し、右手で牡犬のペニスを牝犬の陰部に導き交配させる。これはプロの技で難しい。 ④-1.交配が上手く出来た場合 交配が上手く出来た場合は、ペニスと陰部が結合し後ろ向きの状態で30分~60分余り続く。 ※ サークル内の場合は、双方の引き綱を離し、結合が解けるまで待つ。引き綱の場合は、牡犬を離し、牝犬だけにする。 ④-2.交配が上手く行かない場合 交配が上手く行かなないからと、だらだら交配しないことが重要である。 ※ 牝犬が牡犬を嫌いになり、交配を排除する動きの噛みつき行動が出るような場合は幾ら同居させていても失敗に終わることが多い。 ※ 双方に交配で嫌な印象を植え付けないためにも諦めが肝心である。 ※ 次回は牡犬を変えるか、繁殖のベテランにお願いすることも一考。

⑤牡牝の結合が解けた場合 牝犬は輸送ケージ等で最低2時間は安静にし、車の移動はしてはならない。 ※ 車でドンドン揺ると精液が膣内の子宮から遠ざかり、最悪の場合は膣から精液が漏れ出し、上手く妊娠できないことが多いので注意が必要である。

⑥ 以上で交配は終了 (3)妊娠期間 妊娠期間は、交配日を「0日」と数え、62日前後で出産する。 ※ 例外として、58日が1例、64日が1例を経験。 (4)妊娠中の管理 1)妊娠20日まで ・通常通りのドックフードを1日1回与える。 ・犬にもつわりがあり、食欲が減退したり、嘔吐をする場合もある。つわりの嘔吐は連続性がないので疾病と区別できる。 ・この期間は、狩猟や訓練で山に引くと、流産する場合があるので注意が必要である。 ・しかし、朝夕2kmほどの散歩は行う。 2)妊娠20~40日まで ・この時期になると妊娠も安定期になり、車に乗せても問題はない。 ※ 山に引いても問題はないが、激しい運動は避けるべきである。腹部を強打すると流産することも少なくない。 ※ 食欲も旺盛になるのでドックフードを何時もの50%増しで与える。 ・朝夕2kmほどの散歩は継続する。  3)妊娠40日~62日(出産予定日)まで ・お腹も膨れ妊娠が外見からも確認できるようになる。 ・食欲も旺盛になるのでドックフードを何時もの2倍増しで与える。 ※ お腹が大きくなり物理的に一度に多くは食べれないので朝夕の2回分け、更に50日以降は朝昼夕の3回に分けて与えるのがベスト。 ・朝夕2kmほどの散歩は継続する。 ※予定日が近づいてくると、お腹も大きく歩くのが面倒になるが、休みながらでも散歩はさせる。 ※ 運動を止めると胎児が大きくなり、難産になるので注意が必要である。 (5)出産準備 予定日の5日ほど前に産室を用意する。 写真は、当犬舎で使用している産室ケージと木製の産箱

















【 産室に使用する用具 】

●ケージ=約800×1250×850(H)mm・・・トレイ付

●床敷=ステンレス:650×650mm/5mmメッシュ網…特注品

●産箱=700×700×200/板厚10mm・・・化粧コンパネを使用

〇ドンゴロス

〇ペットシーツ

〇新聞紙

(6)出産予定日 1)陣痛

出産が近づくと、産箱の床をガリガリと前足でかく動作をするようになる。これが陣痛の始まりである。

2)出産

・出産は、潮の満ち引きと関係が深い。新聞等で「満潮時間」を確認しておく。

※この時間帯に出産することが多いので目安にする。

・出産は、母犬に任せるが、時々様子を見る。

※ 出産時間は、全てを産み終わるのに6時間前後が一般的である。しかし、時に12時間以上かかる場合もある。

・全て仔犬を産み終わると後産が出る。

※ これを確認し、出産は終了となる。

※ 後産は母親に食べさせても良い。

※ 後産が何日も出ない場合は動物病院を受診する。

・犬は安産とよく言われるが胎児が大きいと産道に引っ掛かり難産となる。

◎母親は、出産後3日余りは仔犬の世話で餌を与えても食べない犬も少なくない。この時、先に述べた後産を食べていれば食事をしなくても問題はない。

産後10日余りは、黒い下り物が続くが心配はいらない。


(7)出産数と大きさ

・仔犬は5~10頭である。一般的には6頭前後が多い。

・仔犬の大きさは、産児数にもよるが、平均6頭の場合は300g前後である。

















1)生後20日まで

生後20日までは、母親任せでよいが、母親の管理が仔犬の発育に左右するので注意が必要である。

・生後15日目に、母子ともに第1回目の駆虫剤を経口投与する。

※ 回虫が出る。

◎母親の食事は、通常の2倍のドックフードを、朝・夕の2回に分けて与える。

2)生後40日まで

・生後20日ころから離乳食「ミルク」を1日3回(朝・昼・夕)与える。

※ ミルクは、人間のあかちゃん用の「0~1才用」を仔犬1頭当たりスプーン1杯を目安に、約100ccのお湯に溶かして与える。最初は、仔犬の口をミルクにつけ、口の周りを舐めさせると自然とミルクを飲むようになる。 ・生後25日頃からミルクにお湯でふやかしたドックフードをお粥状になるように混ぜて与える。

◎母親は、この頃から仔犬と居る時間が少なくなる。 ・生後30日頃からは、お湯でふやかしたドックフード(容量ccで1:1の割合)をメインに、少々の粉ミルクを降りかけ、1日に3回与える。

・ドックフードの量は、仔犬の便の状態を見ながら増減する。

※ ドックフードの量が多いと軟便又は下痢状となるため減量し、逆に少ないと黒い硬い糞をするので増量する。

※ 与え過ぎより、少ないくらいが仔犬が元気で成長が良い。

・生後30日目に、母子ともに第2回目の駆虫剤を経口投与する。

◎母親の食事は、通常の3倍のドックフードを、朝昼夕の3回に分けて与える。

※ 仔犬に飲ませていたミルクをスプーン3杯と犬用煮干し(5匹ほど)等を追加し、栄養を補う。

3)生後60日まで 前記2)項を継続する。

※ ドックフードの量に注意すること(発育に大きく左右する)。

・生後55日目に、仔犬に第3回目の駆虫剤を経口投与する。

(9)仔犬引渡し

仔犬は、動物愛護管理法により、生後56日以後でないと譲渡してはならないと規定されている。当犬舎では、譲渡日(引渡し)を原則生後60日以後としている。


以上が当犬舎で実施している繁殖方法である。

小生もアメリカンビーグルを35年、サツマビーグルを8年間に渡り、繁殖を行ってきたが、いざ方法を記載するとなると中々表現が難しい。

記載方法で一番猶予しているのは、見る側(読む側)の繁殖経験や予備知識により、どのレベルで書くかが一番苦慮する。

繁殖は、まず実施し、失敗と成功を繰り返し、経験を積みあげるしか方法はないと考える。


上記した内容が初心者にどの程度理解されたか定かではないが、幾らかでも参考になれば幸甚である。

写真は、生後50日目の純血サツマビーグルの仔犬


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